しばらく時間が空いてしまいました。皆様、健やかにお過ごしでしょうか。

日韓関係、久々に日本側からのアクションが現実化しております。

(2019年7月1日)日経新聞:韓国への輸出規制を強化、政府発表 韓国は対抗措置も 

こちらの記事の要点をまとめます。

-有機ELに使うフッ化ポリイミド、半導体製造で使うレジスト(感光材)、エッチングガス(フッ化水素)を対象に輸出ごとに許可・審査を求めるよう改める。
-安保上の友好国である「ホワイト国」として韓国を指定しているが、政省令を改正してこれを削除する。
-強制徴用賠償判決に対する経済報復処置ではない。

韓国発信のニュースを見ている限りでは概ね「輸出規制」と捉えているようで、まるで半導体メーカーの息の根を止められたかのような大騒ぎになっておりますが、経産省の発表を見ている限りでは「信頼関係のもとに」貿易ができない故「特恵」を解いたわけであり、対抗処置ではないと明言しています。韓国は「全然影響ない」的なコメントを出しつつも、WTOに提訴すると息巻いているようですね。ただ提訴したところで韓国に勝ち目があるのでしょうか。解決までに要する時間は数年らしいので、どちらにしても即ホワイト国に返り咲くことはままならず、それまで企業が持ちこたえられるはずがないという意見もあるようですが、優遇処置を規定値に戻しただけの国の対応がそもそもWTOの規定違反になるとは思えない気がしてなりません。むしろ「安全保障上不適切な事例が複数あったため」の部分を世界の耳目が集まる場所で追求され、墓穴を掘る姿が容易に想像できてしまう。

今回の日本のアクションにより半導体を取り扱う企業が影響を余儀なくされるわけですが、国の対応も企業の対応も韓国らしいなぁと思いながら見ています。財閥企業の筆頭でもあるサムスンの副会長が来日するなど、事の切迫感が漂っています。国と財閥との関係がぎすぎすしている現政権がどこまで本気で解決策に乗り出すかに注目したいところです。国産化しろ!という意見が出ているようですが、そもそも生産技術がないが故に日本からの輸入に頼らざるを得ないことや、その技術に特許などが関連する場合もあり、一筋縄ではいかないという事情を知らない人が多い。国が半導体ビジネスを基幹ビジネスよろしく作り上げた経緯がある以上、技術革新のための工場を作るには企業の一存のみではなく国の協力も必要なはずです。一般の国民は韓国が独自の力で半導体を作り上げていると考えていると思いますが、原材料の調達から製造技術まで Made in South Koreaと胸を張れるものではなかった!国産化すればなんて無理だった!ということを知るに至ったわけですね。

2012
2012年 グミ市で起きたフッ化水素を生産していた工場での事故(Yonhap News)


現在韓国から出てくるニュースは日本に強気で是正を求めるもので、報復として諸外国に告げ口してやるもん!といういつものパターンです。そんな態度に「虚勢を張っているにすぎぬ」という意見もありますが、私はXYZ社で得た経験から、政府も財閥企業も立場が弱くなって不安になると「声が大きいヤツが勝つ」方式を取る場合が多いため、日本がどんどんと強めのカードを出すにつれ、告げ口外交に精をだし、反日をあおることで「俺は強い!俺が正しい!」と憤りのパワーを正義のパワーだと脳内ですりかえる作業に突入するように思います。もう本当に負けを認めるしかないぞ、という段階に来てやっと、これまたいつもの開き直り+逆ぎれとなり全力で事態の収集を目指す人たちの邪魔をする。毎回トラブルが起こるたびに不思議に思っていたのですが、「どうしてこんなことが起きたのか」と冷静に経緯を分析しようとする作業が軽視されるのはどうしてなんでしょうね。この作業を行わない限り、再発はおろか類似のトラブルが発生することは必至です。

さて、今回の一連の流れを現役の財閥企業に勤める人々はどう見ているのでしょうか。

我がXYZ社は半導体や化学製品を取り扱うビジネスがありません。ニュースでは毎日流れているものの、自分達のビジネスや実生活を直撃するアイテムではないということが鍵を握っていると思います。昨日、XYZ社の友人に「対日本のビジネス、どう?」と質問してみました。回答は以下です。(カッコ内は役職と年齢です。)

Sさん(次長、40代中ば):ユニクロも無印もいつもどおりで大反響。報道では大騒ぎだけれど、市井を脅かすほどではない。8月に北海道に家族旅行に行く予定なんだけど、美味しいお店教えてー。
Kさん(課長、40代前半):相変わらず元気に過ごしてるよ。テレビではわーわー言ってるけど、社内では話題にもなってない。日本で新規開拓を考えてるんだけど、どう思う?
Iさん(課長、30代後半):毎日テレビでやっているので心配ではあるけれど、今のところうちのビジネスには影響ないみたい。

半導体は韓国の外貨稼ぎの要のはずです。よって報道では危機を訴えているわけですが、いざ一般市民はといいますと割りとお気楽。しかもこの状態で日本でのビジネスが可能であると考えている風な節もありました。実際にビジネスへの影響がない会社では大きな話題にもなっておらず、夏休みの日本旅行をキャンセルする人もいないし、日本産のビールも絶好調で売れています。この波がじわじわと自分達にも迫っているものなのか、それとも懸念にすぎないことなのか、そのあたりについても非常に楽観的な意見で生活への悪影響など想像すら非現実的なもののようでした。でもXYZ社もホワイト国の対象からはずれることによる影響は受けるはずです。このアイテム止められたらあの部署はどうなるのかしら?と思うものもありました。でも、国がつぶれるというほどの緊迫感はありませんでした。とすると、日本の対応はあんまり効いていないのかもしれません。

ただ確実に言えることは、各ニュースでも指摘があるように経済的なデメリットを受ける比重は韓国の方が圧倒的に高く、日本には代替案の準備も順調のように見受けられます。またXグループにとっても日本は重要な取引先が多く、特に財閥企業がビジネスを始めた70年代に日本から教えを受けた(パクったとも言いますが…)恩を大切にしている会社もあるにはあります。きっと韓国が国としてどのように自国の経済を守りつつ、国際社会での信用を取り戻すべく手を打つのか、財閥企業のトップ達はきっとじっとニュースを見ているのではないかな、と思いました。